<途中見つけたガマ>
中沢先生が中沢晶洞を発見した時の手記をネットで見つけた。
こんな大きな晶洞(ガマ)でなくてもいいから、見つからないかなあ。
<中沢先生の手記より>
昭和49年3月,初春の田上山,うぐいすの声を聞きながら近くの尾根や谷をわたり歩く。もう午後3時,今日はたいした収穫もない。ちょうどこの近くに前に掘ったペグマタイトがある。そこからは結晶は良くなかったが,淡い青色のトパーズが少し出たし,希元素鉱物も少しあった。そこでもちょっと寄って今日は帰ろう。
タガネとゲンノウで掘り始める。少し掘るとペグマタイトがぼそぼそになってきた。あ!隙間が開いている。ガマだ!開いた隙間に手が入るようにタガネで丁寧に広げる。中をのぞくと穴の入口には曹長石が見える。奥は暗くて良く見えない。手探りでガマの中を調べる。どうも大きいガマのようだ。
大きな結晶が指にさわる。水晶にしては結晶がおかしい。結晶が四角形のようだ。トパーズの庇面か?手でやっとつかめる大きさ,重い,力を込めてぐっとつかみ上げる。ガマから取り出して見たとたん膝が震えて止まらない。20cmはあるだろう。淡い青と酒黄色の混じった庇面のトパーズの巨晶。こんなに大きな結晶は見たことがない。震える手をガマに入れる。ぐっとつかんで取り出すと,両錐の煙水晶,30cmはある。
日が西にかたむいて行く。気持はあせるが,とにかくリュックに入るだけ取る。見付からないように穴を埋める。今日は帰ろう。薄暗くなった山道を重いリュックを背負って下る。夢のようである。山を下りると真暗になっていた。家に帰って重いリュックから最初につかんだトパーズを出してみる。重さは6kgある。人生最良の夜である。
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