2016年9月9日金曜日

経済のお勉強~パナマ文書~

投資信託なんぞも少々やってますし、グローバル化でますます複雑化する国際的な経済情勢に無関心ではちょっとまずいかと思ったので、読んでみました。ただし、「日本の借金は1000兆円」などというウソをまき散らす経済評論家もいるので、著者の選択には注意しました。

かって長者番付というのが新聞紙上で公表されていましたが、なぜか廃止されてしまいました。その上位の常連であった、在日韓国人経営のパチンコ企業群から巨額のミサイル資金がタックスヘイブンを通じて北朝鮮に流入しているという噂も信ぴょう性を帯びてきたような気がしました。

次に、横着して、アマゾンの書評を拝借して内容紹介に替えることにします。

パナマ文書 : 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う
  

パナマ文書は、パナマにある「モサック・フォンセカ」法律事務所により作成され、この事務所がかかわる1970年代から40年におよぶ、オフショア金融センター(外国人に対して、租税環境を優遇している地域)を利用する企業や人の取引情報である。

世界のオフショアの一番の拠点は、英領バージン地域の規制が緩く、その地域でもタックスヘイブンを利用しマネーロンダリングにも使われている、会社の設立に際して政府の許可が要らず24時間以内に私書箱だけで「免税会社」をつくれてしまう特徴地域である。

税金逃れの為に、地域にペイパーカンパニーをつくり、それを利用し脱税をする。

欧米で一般化されている「183日ルール」つまり、183日以上滞在している国を住居とするルールが有るため、複数の国を渡り歩きどこの国にも税金を払わない人がいる。日本では適用されていないが、12月31日が課税の基準日になっているため、この日に合わせ課税を逃れていた人もいた。しかし、オフショア含め税務当局と和解を進める動きが本格化してきている。

韓国系サラ金・武富士の元会長の相続で、法人税率の低いオランダに会社を設立し、ここに、所有している武富士株を譲渡し、この株の90%を香港に居住する長男に贈与(ダッチサンドイッチという手法)した。2005年に国税庁は延滞税含め約1,600億円を課税したが、長男は提訴し2011年に最高裁で勝訴し、課税の取り消し処分になり、利息を含め約2,000億円を返還せざるをえなかった、これを踏まえ、細かい法改正を重ね逃げ道を順番に埋めてきている

ヨーロッパ各国にはシェンゲン協定を結んでいて、加盟国間においては、国境検査なしで国境を超えることを許可する協定があり、エストニアも加盟国であり、企業や個人に対して、一定の金額を支払えば簡単に就労ビザを出す。

匿名性の口座と資金の特定が、パナマ文書のキモで、2014年に、フランスの銀行BNPパリバは、スーダンやイランとの間でのドル送金等の金融取引から、アメリカ司法省から89ドル億の罰金とドル決済の1年間の禁止処分を、また、マカオの銀行BDA(バンコ・デルタ・アジア)は、北朝鮮関連企業との取引を理由にアメリカから金融制裁を受け実質破綻し国有化された。

アメリカ医薬業界大手ファイザーとアイルランドの同業アラガンの合併は、法人税率12.5%(アメリカ法人税率約40%)のアイルランドへ持ち株会社を設立し、巨額の節税を目指したが、2016年4月に、この合併はご破算となった。同様に、2013年に日本の東京エレクトロンとアメリカのアプライドマテリアルの半導体メーカーの大型合併は、本社をオランダに置く計画も頓挫している。

世界最大のネット書店アマゾンは、クレジット決済センターが、アイルランドのダブリンにあり、日本の法人税の納税義務を逃れてきた、また、電子書籍等の電子データー販売は、サーバーがシアトルにあることから、日本の消費税の課税対象にならなかった。しかし、アマゾンサイトの購入者が商品評価(レビュー)の書き込みを巡り、アマゾンのアメリカ法人と日本法人を相手に裁判を起こしたが、アマゾン側は、日本語サイトは運営主体は日本法人アマゾンジャパンだと認め敗訴した。これは、ある意味アマゾン自ら法人実体が日本に有ることを認めた事を意味していて、膨大な金額が徴収される可能性が指摘されている。

企業側の釈明に「解釈の違い」が有るが、これまでの租税回避行為について、法解釈のあり方次第で脱税行為に、過去に遡り課税される可能性は往々にしてある。

オフシュア法人の4割以上が、英領バージンに存在する。身元を知られたくない資金が島に集まり、この島から直接、または別なオフショア地域を介するかたちで世界中に流れている。
この法人設立を手伝い、運用管理を代行していたのが、モサック・フォンセカである。

不透明な仕組みや債券化は、債券化の過程で実態資金の60倍以上の資金が産み出されていて、深刻なのはオフショアに流入していた3,000兆円から派生し膨れ上がった額がどの程度になっているか解らない

「国際的マネーロンダリング・租税回避・テロ資金」との戦いが、国際機関であるFATF(金融活動作業部会)を中心に世界各国が協調するかたちで進められている

アメリカは経済制裁の対象となる人・法人・国をリストアップしたSDNリストを作成し、リストに含まれた団体等の取引を禁じ、違反が発覚した場合、アメリカとのコルレス取引(外国為替取引)が出来なくなる仕組みを構築し、リストに掲載また、疑いの有るものは、入国させない仕組みがある。

タックスヘイブンは、カリブ海地域だけではなく、アメリカではネバタ州、ヨーロッパではルクセンブルクなどに、世界中のグローバル企業本社が置かれている。それらを利用しアイルランドやオランダの税制とタックスヘイブンを利用しダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチで、低い税率の適用をうけている。

2007年、HSBC(香港上海銀行)のIT技術者が、プライベートバンキング部門の本社の有るジュネーブからファイルを盗みフランス政府当局に提供した。かってスイスの銀行は、銀行秘密保護法により、顧客情報を完全に秘匿出来たが、2009年以降、アメリカはテロ対策等から、スイスに対して銀行秘密保護法を撤廃せよとの圧力を掛ける、拒否すれば、アメリカ市場からスイスの金融機関を締め出すと脅している。

フランスではパナマでの会社設立は要注意先に該当し、全ての金融取引データーをフランス金融当局に報告しなければならない、パナマにある銀行口座がある企業の情報は、エドモント・グループに共有され、各国で共有されることになる。

IMF(国際通貨基金)は中国人民元を2016年10月以降にSDR(特別引出権)の構成通貨に組み入れる、人民元の国際通貨入りに道が開けた、これを指示したのがイギリスであった。

中国は貿易決済に香港ドル、アメリカドルを使用していて、香港ドルは、国家が発行する通貨ではなく、イギリスの金融グループHSBC系列の香港上海銀行、イギリス系銀行スタンダードチャータード、そして、中国本土系の中国銀行により発行されている。

北京の役人の年収は日本円にしておよそ200万円とされていて、中国の共産党高級幹部およびその親族は、妻子や不正蓄財を海外に逃避させ、一人が中国に残ってせっせと賄賂を稼ぐ役人「裸官(らかん)」であり、アメリカやカナダは、その国で出産することで、国籍や永住権を与える「出生地主義」をとり、その三親等以内の親族については、永住権(グリーン・カード)が得られる。CIAのレポートによれば、中国から1兆6,000億から、3兆ドルもの資金がアメリカに流入し、その殆どが役人の不正蓄財だといわれている。この裏金は地下銀行を利用している。

租税特区は、イギリスの旧植民地や自治領のみならず、ヨーロッパ本土にもあり、その代表がモナコとルクセンブルクで、ヨーロッパの貴族たちが資産管理会社を移し、母国に税金を払わない実態もある。この様に世界中にオフシュアの拠点がある。

日本のマイナンバー制度・外国人住民登録厳格化や、アメリカ中心のFATF(金融活動作業部会)による協力体制のもとで、OECDによるBEPS枠組みでオフショア地域への国際圧力が高まり、タックスヘイブンが日本からの治外法権ではなくなっている。暴力団の資金源や、地下経済からの資金源等も炙り出され、反社会的勢力は資産を現金所有するしかなくなっている

規制強化がまだまだ進んでいない日本の金融機関がある、これは管轄する行政機関の違いから生じた抜け穴で、ゆうちょ銀行であり、2015年に株式上場を行い大きな問題を指摘している。

また、政治団体SEALDSは、ゆうちょ銀行口座でカンパ募集したが、この口座名は、前身団体であるSASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)。これは完全に違法行為で、その他の問題点も取り上げている。

アメリカ軍の沖縄基地に対する暴力的な抗議行動の団体は、アメリカにおいては明らかにテロ行為になり、「反基地団体関連口座」は、SDNリストに入れられ、金融取引が不可能になる可能性もある。

中国の半導体大手の紫光集団は、アメリカのハードディスクドライブ大手のウエスタンデジタル(WD)資本参加を断念している、また、韓国系企業ソフトバンクがアメリカ通信企業のスプリントを買収する条件に、中国の会社のファーウェイとZTEのシステムを使用しないことを呑まされた経緯がある。

再建された日本航空(JAL)の再上場にからみ、同社の稲盛和夫氏の創業した京セラが未公開株を取得し、巨額な利益を手にし、メリルリンチやモルガン・スタンレーが海外主幹事に選ばれている。

日本人は性善説で考えがちだが、世界はむしろ性悪説に基づいて動いている、残念だが日本ではこうした世界的な流れや仕組みを理解していない政治家が非常に多く、「国際化」「グローバル化」などという耳ざわりのいい言葉に騙されて国益を損なうような失態を演じるケースが多いと最後に締めている。

全体的に、まとめてみたが、非常に解りやすく、面白く読める、世の中のお金の動きが滞り経済が活性化されない原因の一つでもある、昔からの大富裕層の節税の仕方を暴露しながら、世の中の矛盾に少しだけメスをいれている、しかし、この流れで確実にアメリカドル覇権(ウォール街を中心とした多国籍企業)が着々と復活している事を感じる、また、中国がますます壊れていることも。しかし、パナマ文書を出した「モサック・フォンセカ」は、世界第4位のオフショア金融取引情報だが、では、その上には、どんな組織やカラクリが有るか興味有るが、多分そこに触れれば、暗殺の対象になるのだろう!恐ろしい社会に住んで居ることに気が付く。


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2 件のコメント:

bandlover さんのコメント...

まじめに納税している庶民には縁のない話の連続ですが、稼いだ金の一部を社会に還元する美学がかっては米国にはあった話はもうなくなったのかなあ?
一部の大富裕層が、ますます強大になっていく世界の中で、日本の政治家はそのような節税の仕組みについて知らないのは当然で、まずは自分たち政治家層の特権や節税・資産隠しなどが優先度が高いのではないかと思います。
早く、税の公平化や使い道の適正化に取り組まないと日本は世界の中で淘汰されていくのではないかと危惧します。
山に行けば浮世のことは何もなく、生きること・前に進むこと・戻ることなどしか考えなくていいのだが、下界では悩ましいことが多いです。

迷山漫幽 さんのコメント...

いつもコメントありがとうございます。

>まずは自分たち政治家層の特権や節税・資産隠しなどが優先度が高いのではないかと思います。

高給取りでも富裕でもいいのですが、問題は、真剣に国益を考え、やるべきことをやっているか、と言うことだと思いますね。国民も、いい加減なマスコミ報道なんか鵜呑みにせず、ネットなどでチェックしないといけませんね。なかには、こともあろうに、中国・韓国のような反日国家の利権に目が眩んだ売国奴議員が自民党内にもいますから。もっとも、炎上中のレンホーのような国籍不明議員??などは論外ですが。

>早く、税の公平化や使い道の適正化に取り組まないと日本は世界の中で淘汰されていくのではないかと危惧します。

税の公平化や使い道の適正化については、安倍政権は、民主党政権は論外として、かっての自民党政権に比べれば、良く取り組んでいると感じています。また、他国に比べて遅れているのかどうか。

徴税に関しては、外交と同じく、自国には厳しくて他国には寛容・正直すぎて馬鹿をみてるのが日本だと思います。G7やG20などで各国間の租税情報交換システムが発効しはじめたそうですから、日本国に納めるべき税金をちょろまかしてきたグローバル企業が続々と追徴課税されることを期待したいです。

>山に行けば浮世のことは何もなく、生きること・前に進むこと・戻ることなどしか考えなくていいのだが、下界では悩ましいことが多いです。

平和ボケのままでいた方が良かったかも知れませんね~~。本当の事を知ってしまうのも善し悪しですね。おっと、良い季節になってきました。資料を集めていろいろ企んでおりますが、ガラスの膝ですし、そそられる報告ができますかどうか。一応、頑張ってみます。bandloverさんも、どこか彷徨われましたらお話しお聞かせください。ではでは~~。